リチャードブランソン氏率いるヴァージングループが苦境との事です。
原因は今回の新型コロナウィルスの流行で、グループ中核の航空産業が大不況。
公的資金の融資を政府に頼みたいのに、租税回避地(一応英領らしい)の島に本人は暮らしていたりするので、税金を使う事に民意は冷ややかとの記事です(bloomburgより)。
私は若いころ、ヴァージングループを率いるリチャードブランソン氏にとても強い憧れを持っていました。中学から高校にかけてのMTVの大ブームでその中でも注目のUKチャートのニュースで必ずこのリチャードブランソン氏が率いる「ヴァージンレコード」という単語が聞こえてきたからです。
学校にも行かずに、中古レコードの仲介で企業し、そのまま音楽産業に参入して大成功。というところが勉強嫌いな癖に夢見がちな高校時代の私に憧れを抱かせました。
そして私が社会人になって苦労している頃に再び「ヴァージングループ」という名前がニュースで聞こえたかと思ったら、何と旅客航空会社「ヴァージン航空」を設立して大成功。
このような形で老舗の大企業が支配する市場に果敢に参入し、成功を納めるスタイルでした。
テレビや雑誌のインタビューなどにも頻繁に登場し、
「従業員は50~60人くらいがベスト。社長が従業員全員の顔を覚えられるからです。」
「私は既存の産業に参入して成功を納める事ができると考えています」
「(若者に何かアドバイスとという質問に対して)趣味として仕事を楽しみ、それに人生をかけるという事。そうすれば成功につながるかもしれない」
職場で苦しむ若者だった当時の私には本当にカッコよく思えました。
リチャードブランソン氏の著書も読みました。若いころ読んで「自分もこうなりたい」と思ったものです(今では赤面ですが)。
私だけではなく当時は(おそらくですが、)世界中の企業を志したり、実家の稼業を継いで発展させたいと思っている若者がこのリチャードブランソン氏に憧れていたと思います。
今、このニュースに触れて改めてヴァージングループの企業群を調べてみると、
企業 持ち分 % ジャンル
エアアジア X 16% 旅行
Vフェスティバル(英語版) 100% エンターテイメント
ヴァージン・アクティブ(英語版) 20% 健康
ヴァージン・アメリカ(アラスカ航空に合併され消滅) 25% 旅行
ヴァージン・アトランティック航空 51% 旅行
ヴァージン・オーストラリア 10% 旅行
ヴァージン・ブックス(英語版) 10% 出版
ヴァージン・ケア(英語版) 100% 健康
ヴァージン・クルーゼズ(英語版) 100% 旅行
ヴァージン・コネクト 100% メディア
ヴァージン・エクスペリエンスデイズ(英語版) 100% エンターテイメント
ヴァージン・ギャラクティック 100% 旅行
ヴァージン・グリーンファンド(英語版) 100% エネルギー
ヴァージン・トレインズ 100% 鉄道
ヴァージン・ヘルスバンク(英語版) 100% 健康
ヴァージン・ヘルスマイルズ 100% ビジネスサービス
ヴァージン・ホリデイズ(英語版) 100% 旅行
ヴァージン・ホテルズ(英語版) 100% ホスピタリティ
ヴァージン・リミテッドエディション(英語版) 100% ホスピタリティ
リモバイク(Limobike) 100% 旅行
ヴァージン・メガストアーズ 100% リテール
ヴァージン・モバイル 100% 通信
ヴァージン・マネー(英語版) 34%[2] 金融
ヴァージン・オーシャニック 100% エンターテイメント
ヴァージン・レーシング 100% エンターテイメント
ヴァージン・ラジオ(英語版) 100% エンターテイメント
ヴァージン・レール・グループ(英語版) 51% 旅行
ヴァージン・スポーツ 95%[3] スポーツ
ヴァージン・トレインズ・イーストコースト(英語版) 10% 旅行
ヴァージン・ユナイト 100% チャリティ
ヴァージン・バケーションズ(英語版) 100% 旅行
ヴァージン・バウチャー 100% リテール
Wikipedia(ヴァージングループで検索 2020年6月4日時点)
と凄い発展ぶりですが、このリストは少々古いリストのようで、例えば鉄道系のヴァージントレインは上のwikiのリストには乗っていましたが、調べてみるとどうも鉄道の方は現在は撤退してしまったようです。鉄道会社というと日本の私鉄のように線路、電車、駅、周辺不動産と全てを運営している会社を想像しがちですが、どうもイギリスではそういう体制ではなく、線路と電車は別の経営だったようです。
それからよく見ると世の中の中核を担う電話事業や、検索事業、電子決済事業等はないようです。大昔からある既存産業ばかりです。
「儲けの殆どを新規事業に費やす」という経営スタイルは、どうしても財務体質等の足腰に弱さを作ります。若者だった私にはそこが痛快に思えましたが、自分が経営するような立場になるととても真似できません。
それでもリチャードブランソン氏については今でも私はファンです。
多くの同世代の人が世界中で同じように思っている事だとおもいます。
Googleやアマゾンのように新しい産業を作り出すというビジネススタイルが全盛の中で、存在は少々目立たなくなっていましたが、今回の危機を乗り切り、再び輝いて欲しいと思います。
「老舗企業が支配する業界に挑戦する」というスタイルで。
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