はじめに ブルーカラーミリオネアは日本では普通にいる
私の周囲には「一代で事業を築き上げた人」が何人かいます。
いわゆるブルーカラービリオネアと呼ばれる人たちですね。どこの地域でも同じかと思いますが、創業者で商工会議所の幹部や地元財界の重鎮として知られているようになった人の殆どはこのタイプです。決して珍しい存在ではありません。
日本のブルーカラーミリオネアの共通点
彼らに共通している点を挙げてみます。そもそもの学力としては進学校に通える水準でありながら、大学進学を選ばず、早くから現場労働の世界に入った点です。私の観察では経済的な問題というよりも、高校時代に勉強熱心ではなかったように見えます(ハッキリ言えば、学校と合わなかった)。
早くから現場で経験を積み、適切な時期に独立し、やがて自分が働く側から「仕事を仲介する側」へとポジションを移していきます。仕事の情報が集まる交差点を押さえ、アシスタントや部下を育てながら会社を拡大。このパターンが多いようです(私の周囲のお話です。例外も多々ある事でしょう)。
性格は勝気で、必要なら喧嘩も辞さない。しかし同時に明るくよく笑い、素直。だから若い人間には舐められず、仕事を発注してくれる高齢の資産家からは好かれる。多少は読書習慣もあり、必要と感じたときには建設業であっても不動産の資格を取るなど、地味な勉強を怠りません(ただし勉強は目的があるときだけ。本当に勉強好きなら大学進学は充分にできる頭脳の持ち主だったので・・・)。
さらに言えばとても慎重(これは重要な点)
それから印象的な点は、彼らが驚くほど慎重だという点。危険な雰囲気を持つ若者は即座に見抜き、雇用しません。高齢資産家から身の丈に合わない大規模工事を依頼されても、全員が口を揃えて「断った経験がある」と語ります。派手に勝とうとせず、「死なない選択」を積み重ねる事に長けた人たちです。
そんな昔からいる人物像がアメリカでは新しい発見のように語られる
こうした人物像は、日本では昔から普通に存在してきました。ここまで読んでくださった方の中にもきっとご近所や周囲にいらっしゃる同じような御人達の顔を思い浮かべたと思います。
ところで近年、アメリカでは「ブルーカラービリオネア」が新しい発見のように語られています。なぜ今さらなのでしょう?。その背景には、アメリカ社会の構造としてのエリート層と庶民層の分断、そして金融やITに偏った成功モデルがあるように思えます(あくまで私の想像です)。
しかしアメリカはすぐにまた忘れる
今後、アメリカが産業の国内回帰を進めれば、こうした人材が一時的に評価される場面は増える事でしょう。ただし文化の土壌を考えると、長く定着するとは考えにくいですよね。成功した現場には必ず金融業者が近づき、拡大や投資の論理を持ち込む。もっと良い暮らしを教えようとする。結果、せっかくのブルーカラービリオネア達は現場で働く側からスマホ片手に投資をするだけの側に回ろうとする。しかも、その前の段階で人手不足が起これば、結局移民に頼らざるを得なくなる。その移民が目の前に同業者(ライバル)として成長する。
ブルーカラービリオネアと言ったって結局移民がやる仕事、と蔑まれ始め、自分はそこからの脱出を考える。そんなシナリオが浮かんできます。
まとめ
日本型のブルーカラービリオネアは、身の丈を超える派手さは嫌い、無理をせず、地場で生き残ることを重視してきました。その「当たり前」が、アメリカではようやく言語化され始めただけなのかもしれません。しかし短いブームで終わる事でしょう。
(ちなみにアメリカにはまったく詳しくありません。報道やネットニュースをみてそう考察しました)
写真提供:Jason Richard(Unsplash)
