なんでも鑑定団に依頼する人はなぜ裕福な老後を過ごしているのか

先日に引き続きアートの本をまた読んでいます。

そもそもアートに関する疑問でが、

テレビ番組「なんでも鑑定団」に骨董品の鑑定を依頼する一般視聴者はなぜ裕福な人が多いのか?

 という疑問です。再現フィルムなどを見ると、必ずしも昔から裕福だったという訳ではなく、「お金がない若い頃に買った」という品を出品する人が多いようです。彼らは必ずしもエリートではないかもしれませんが、社会的に成功された人達だと言えます。

アートは単なる道楽や自分を飾る物ではなく社会を生き抜くスキルだと書かれた本はとても多くて、先日読んだ落合陽一氏の「日本再興戦略」等、多くの本に「アートを勉強する事の必要性」が書かれてあります。

 それから私自信の祖父(とっくの昔に他界)の思い出話ですが、よく「名画や芸術にふれろ。商売のコツがそこにある」と語っておりました。どうも祖父が戦前に通学していた東京商科大(現一橋大学)でその辺りの事を教わったようでした。聞いていた私は「商売と芸術に何の関係があるのだろう?」と不思議な気持ちでした。「その辺りの事をもっと聞いておけばよかったな」という反省が課題として残っています(祖父は地方都市の商売人でしたがとても賢く、ビジネスも投資も上手な人でした)。

そんな疑問を胸に手に取った本がこの本です。

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 山口周/著 (光文社新書)」

 私自身は今さら芸術に詳しくなったって女性にモテる訳でもないし、そんな付け焼き刃の知識を披露したって嫌われるだけです。今さら逆立ちしたってエリートには程遠い存在です。しかしながら、どうも芸術とかアートは「私自身に足りない回路」だとは思っていたので、この本を買ってみました。

 読んでいて「なるほど!そうだったのか」と、積年の疑問が解けた気がします。

 従来のMBAに代表されるような「データを積み上げて分析」する事を中心とする経営スタイルだと、どうしても補えない部分があるのですね。どうやらアートによってその力が身につくのだそうです。

 そういえば私の友人が以前こう言っていました。

「成功するベンチャー(企業)って沢山のデータを分析して、「これだ!」って生まれてくる訳じゃないんだよね。もっと『こんなものがあったらいいな』とか『こんな事やってるくれる会社があればいいよね』という発想からうまれてくるんだよ」

 この友人は、かつてベンチャー企業のスタートアップに構想段階から携わった経験がある女性です。彼女が携わった会社は今は知らない人はいない位の大成功を遂げました。

 分析だけだと新しい事はなかなか思いつかない。もっと感性が必要。そこを鍛える一つの方法がアートを勉強する事なのだと知りました。

 為政者が芸術家を保護したり、本人にも芸術の才能があったりする場合が多いのはそれが理由だという事がわかります。

 前述の「なんでも鑑定台」に依頼する視聴者の人達に成功者が多い事もそれが理由なのだと考えます。彼らは何か美しい物を眺める趣味を持っていいたために、「なんでも鑑定団」に投稿するような豊かな老後を過ごす事ができたのです。

 そんな事を考えながらこの本を見ました。

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