昨日は「飲食店の家賃支払い猶予の法整備を経営者が訴えている」という事について書きました。今日はその続きです。
「不動産オーナー(大家)にしわ寄せが行く法案には反対で、働いている人個人への救済が良い」と言う考えですがこれには二つの意味があります。
まず「飲食店の家賃支払い猶予」は法整備に圧倒的に時間がかかってしまうと考えます。
当然ながら法律は皆に平等なのだから不動産オーナーだけにしわ寄せが行くだけの法案は現実的ではなく、不動産オーナーに対してお金や土地を貸している人にも負担がなけれなりません。それに不動産の「占有」や「契約」等民法の分野にも関わってきます。その点でも相当な時間がかかってしまうでしょう。
災害は今回のコロナだけではありません。今後も台風もあるし地震だってあるでしょう。
そんな事が起きる度に「今度の災害でも家賃の減免をしろ」となると、経済が立ち行かなくなってしまいます。今後、金融機関は簡単に融資をしなくなる事だってあり得るでしょう。もし仮に国会を通ったとしても簡単には施行できない法案になると思います。
今回のコロナウィルスの休業している飲食店は殆どの場合、中小零細企業です。失礼ながらさほど長い時間は残されていないと考えます。
既に私の周囲では既に、多くの不動産オーナーとテナントとして入る飲食店の間で時限付きの家賃減額の話し合いが始まっています。この上さらに「飲食店側に一方的に支払いの猶予」をしなければならない可能性がるとなれば、それらの話し合いに水をさしてしまうかもしれません。
私も「飲食店の家賃の猶予」という政策にまったく意味がないとは言いません。
しかしながら一時的な感情的に流されて債務の減免を行う事は「現代の徳政令」になってしまいます。そのような意見がマスコミを賑わすと、政府中枢の人たちの耳をかえって塞いでしまう事にもなりかねません。
もう一つ昨日の日記で「働いている個人への救済」を優先するべきだと書いたのは、苦しんでいる飲食店の殆どが(重ねて失礼ながら)中小企業だという点です。
少人数でやっている店が殆どでしょう。
今回のように政府が国民1人につき10万円支給するというのであれば、夫婦で20万円です。もし子どもが2人いる夫婦なら40万円の支給となります。事業規模から考えて少ない金額ではない筈です。
それらのお店が休業している場合、従業員にも1人十万円ずつ支給されます。これが満足の良く金額かどうかは解りませんが、論じるなら家賃の猶予ではなく今回の「1人につき10万円」の増額だと思います。
今から増額は無理でも、夏までにもう1回給付をというのであればテーブルに乗ると思います。少なくとも「家賃の猶予」よりは現実的です。
もし飲食店の経営者たちが政府に対して運動するとすればこちらだと考えます。
【徳政令】
財政破綻に苦しむ御人を助けるために、商人から借りていた御家人の借金を帳消しにさせ、結局は御家人は新たに商人から金を借りれなくなり、結果として御家人はさらに窮乏し、幕府体制の不安定になり滅亡を早めたという話だったと記憶しています。