武漢から第一陣が帰国した事について

ニュースによれば武漢在住の日本人の方の帰国の第一陣は無事に帰国できたとの事です。しかし200人のうち5人が体調不良を訴えているという事で、無事を祈っています。
ネットでは今回の日本政府の一連の行動に「対応が遅い」と非難があがっています。
「チャーター機での救出が他国より遅かった」
「中国からの旅行者の流入をなぜ止められなかったのか」
等という意見もその中に含まれます。

確かに私もウィルスの流入に対して忸怩たる思いでこのニュース見てはいましたが、今回の事で日本政府を非難はしとうとは思いません。

「チャーター機での救出が他国より遅かった」という点に関しては、そもそも日本政府が海外にいる日本人1人1人に優しかった事なんて無かったと思います。

戦後の記憶だって
旧ソ連の抑留者が帰国できるまでに何年かかったのか?
旧満州国からの日本人の帰国はどうだったのか?
中国残留孤児は?
現在だって北朝鮮の拉致被害者達の件はどうなのか?

もともと日本政府は海外にいる日本人に対してそんなに優しくないし、迅速な対応なんてできない政府だし、それは仕方がない事なんですよ。
だって私達国民もそこまで政府が迅速に動けるような権限を与えてはいません。こんな時だけ「迅速に行動しろ」と言ったってそれは無理です。

そう考えると、今回の武漢からの日本人帰国については日本政府はよくやっていると言えます。少なくともチャーター機を派遣しているんだから。

今回の武漢在住の日本人のチャーター機による帰国では政府は1人につき8万円の飛行機代の個人負担を求めているようです。それに対して(自民党の)二階幹事長は政府が飛行機代を負担する事を提案しているようです。

どっちも理があると思います。個人負担にしないと次に海外で災害があった時に簡単に「在外邦人を救出する飛行機」を飛ばせなくなってしまうかもしれません。

しかし個人負担にしてしまったら大学生や留学生、出稼ぎに出ている人等、(失礼ながら)あまり裕福ではなさそうな御人が帰国に躊躇してしまう可能性もあります。

そう考えると政府が正しいのか二階幹事長さんが正しいのかは私には解りません。

ただ、そういう議論があるだけでも「今回はマシだ」というのが私の感想です。

最近は(私も含めて)皆が気軽に海外に行きますが、こうなるまでに大分時間がかかりました。

私が子どもの頃の高齢者(戦争を知っている世代)は気軽に海外旅行なんて行ったりはしませんでした。お金の問題だけじゃありません。お金は沢山持っていたけど、海外旅行は気軽には行かなかったし、もし行くときは「団体旅行」というある意味「完全武装」で出かけていました。

「ご老人の事だから」という理由では片付けられません。その世代(ちょうど私の祖父母の世代)は若い頃から海外は身近ではなかったかと言えば、そんな事はなかったのです。
子どもの頃に周囲の老人たちから聞いた体験談だけでも、彼らは実にバリエーションにとんだ海外体験を語ってくれました。

具体例を挙げると「満州、北支、南方の島々、海南島・・・・シベリア」。

もぅ解りましたね?彼らは若い頃の体験から「海外にでかけて何かあっても日本政府が助けてくれる」なんて発想は皆無だったのです。

海外で日本政府があてにならないのは、今に始まった事ではない。
今までもそうだったし、これからもそうです。
そして私達はそういう「海外で災害にあってもすぐに助けてもらえるような力」を政府に与えてこなかったし、これからもそうでしょう。
そう考えると、今回はよくやっていると思います。

制約が多い中で、武漢からの日本人の帰国に取り組んでいる関係者の人達の働きに陰ながら感謝したいと思います。

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