父から相続予定の土地。老朽化した建物と相続税の問題

この記事のはじめに

多くの中小企業経営者の悩みが不動産についてです。

一見本業と関係ないようですが、これは結構な悩みの種です。

例えば、先代、先々代の頃にはそこを店舗や工場、作業場として活用していた。

しかし段々手狭になってきた。あるいは周囲の環境が変わり、他所への移転をした。

そして残った土地を賃貸不動産として活用していた。

というパターンです。

わが社にもその様な土地があります。その土地に大きな投資を決断しました。

老朽化した倉庫が、ただのやぐらに

 その土地の名義は私の父です。 将来的に私が相続する予定ですが、そこには祖父から父が相続したときの建物が残っています。

もともとは会社の倉庫件作業場だったのですが、老朽化に伴って 壁を外し、天井も外し、 今では骨組みだけの“やぐら”のような状態です。

現在はその建物を屋根付き賃貸駐車場として使い、 現金収入を得ています。

更地扱いされるかもしれない不安

ただ、このやぐらの状態のままだと
相続の際に 「建物が建っていない更地」と税務署にみなされるリスク があります。

父が祖父から引き継いだときは、「他者の建物がある土地」と評価され、評価額も低かったようですが、 今はもう構造的にとても無理だろうと 税理士さんから言われてしまいました。

国はこれから相続税を厳しくするのでは?

これは私の想像ですが、今後相続税はもっと厳しくなるのではないかと考えています。

なぜかというと、

  • 消費税はこれ以上上げにくい(最近のSNSの論調を見れば、そうなりますよね)
  • 所得税も上げづらい(こっちももう限界)
  • 法人税も引き上げは難しい(政治家も大企業の意向は汲むでしょう。)

という空気を感じるからです。

そんな中で「相続税だけは上げやすい」。相続税であれば、
「消費税を下げろ!」と声を上げている人でも あまり反対しないでしょう。
「お金持ちから取るならOK」という流れになると思うのです。

本当は土地があるからといってお金持ちとは限りません。 しかし、それを理解してもらうのは
なかなか難しいものだと感じています。

建物を建て直す決断

そんなわけで、
私は老朽化したやぐらを取り壊し、
新しい賃貸ビルを建てる決断をしました。

本当は父に個人で借り入れをしてもらい、 資産総額を圧縮(相続評価額を下げる)
することも検討しました。

しかし、法人名義(しつこいようですが、これも私の会社)で土地を借りている関係で、 

父個人が法人に立ち退き料(借地上の建物を取り壊す補償金のようなもの)を 支払わなければならない形になってしまいます。

 そうなると会社側にとっては立ち退き料を所得として計上する事になり、法人税がかかる事になります。そうなると本末転倒です。

結局、どちらにしても大きなお金が動くというわけです。

結論とこれから

そんな理由から方針を考えました。

  • 父からの土地を相続する前提で、法人として新たにビルを建てる方向に進める
  • 相続税をなるべく抑えるにはどうするか、税理士とも継続的に相談していく

ここで、読んでくださった皆様はこう思われる事でしょう。

「元々は倉庫でも今は櫓(やぐら)なら立退料なんていらないんじゃないの?」

私もそれは考えたのですが、それは税務署の担当の人の匙加減になってしまいます。思うにどんな仕事にも担当者の裁量に左右される事があるのですよ。

もし、普通に櫓(やぐら)をただ取り壊し、父個人で借り入れを起こして建物を建て、相続資産を圧縮したとします。そして相続の時が来たとします。こちらとしては満を持して「借入の方が多いので、相続税はゼロですよね?」と言った途端に、「立退料払ってないですよね?」となんて税務署の担当者の心象が悪くなって、容赦のない課税額がきたら元も子もありません。

ここは法人で、建物を建てて、父個人の資産評価を下げておくという事がもっとも良い判断だと考えました。

同じ悩みの方へ

もしも

  • 親から相続予定の土地がある
  • 建物が老朽化している
  • 相続税が不安

という方は、
早めに税理士や不動産の専門家に相談しておくことを
強くおすすめします。

※この記事のアイキャッチ画像はpixabayのサービスからお借りしたものです。弊社のビルはこんな一等地にはありません。

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