トヨタ自動車の社長の発言に同族経営のメリットを見た。

はじめに

朝、ネット記事でトヨタ自動車(株)の豊田章男社長が「リーダーとボスの違い」について語られたというニュースをみました。

豊田社長のスピーチの引用

まずその記事の引用です。

ボスは私と言う。リーダーはわれわれと言う。

ボスは失敗の責任をおわせる。リーダーは黙って失敗を処理する。

ボスはやり方を胸に秘める。リーダーはやり方を教える。

ボスは仕事を苦役に変える。リーダーは仕事をゲームに変える。

ボスはやれと言う。リーダーはやろうと言う。

トヨタイムズ トヨタ春交渉 2020 第2回「ボスになるなリーダーになれ」より

これは労使交渉の議事録の中での発言だそうです。

詳しくはリンク元をご覧ください。記事によるとこのスピーチは会議では若手エンジニアの離職が議題に上っていた事が議題になった時の事だそうです。。

あのトヨタでも若手エンジニアの離職がるのですね。記事によれば離職するエンジニアは今の若者らしく「スタートアップ」に移籍するのだとか。

野心ある若者が大企業からスタートアップに転職したがる事はある程度は仕方がない事です。そしてその若いエンジニア達は理由を周囲に聞かれれば、「本当は辞めたくないんです。自分も辛い決断でした」という程度の話しは当然しますよ。

ですからトヨタ側に問題がある訳ではありません。その事を悩む必要すらないと私は思います。

むしろそのような野心的な若者達が少なくとも一度はトヨタ自動車に入ったのだから、トヨタの魅力やブランド価値は盤石と言っていいでしょう。

トヨタは同族経営の良い面が出ている会社だと思う

 前述の豊田章男社長の発言は、職場の空気や各部門のリーダーへの薫陶のようです。

とても良い内容ですが、同時に同族経営企業の経営者の特徴がよくでていると思います。

私の経験から考えるに同族企業の経営者にとっては社員は「末永くお付き合い頂く大切なステークホルダー」としてとても大切にする傾向にあります。

単なる使い捨ての道具ではないのですね。

同族経営のメリットデメリット

同族経営のメリットデメリットについて書いたサイトを探してみたら以下の記事がありましたので、引用させて頂きます。 有名なグロービスのサイトからの引用です。

同族経営は是か非か

(同族経営の)メリット

・経営者がオーナー意識を強く持っているので、いざという時の粘りや頑張りが非常に強い

・特に創業者が存命であるうちは、彼/彼女が一線を退いたとしても求心力が働きやすい

・同族経営者は通常は大株主でもあるので、難しい意思決定に関しても「鶴の一声」で前に進められる。その結果、スピードが増す

・創業家以外の経営者ではできないような大変革を主導しやすい(松井証券やスルガ銀行など)

・次期経営者に対して帝王教育を施しやすい。たとえば若いうちからさまざまな経験を積ませることが可能。また、家庭でも経営理念を深く伝授することができる。経営理念が競争優位の源泉にもなってきた昨今、そのインパクトは大きい

(同族経営の)デメリット

・ガバナンス機能が働きにくい結果、経営者の暴走や放漫経営に歯止めがかからない

・他の従業員が「“上がり”はせいぜい番頭役まで」と考える結果、デモチベートされる

・創業家以外の優秀な人材を経営者に据える機会を逃すことになる

・創業家の関係者間で「お家騒動」が起こると、会社までその騒動に巻き込まれ、迷走する可能性がある。たとえば兄弟姉妹間の確執が企業にまで持ち込まれてしまうなど

GLOBIS 知見録  2016.09.20 戦略・マーケティング 同族経営は是か非か

だそうです。ポジティブな項目とネガティブな項目の両方がありますね。

ポジティブな項目は、現在のトヨタ章男社長にとてもよく当てはまると思います。過去に北米での裁判を乗り切った時に見せた粘り強さは記憶に新しいところです。

ネガティブな項目は現時点のトヨタ自動車には該当する項目が無いようです。デメリットで懸念されるような「お家騒動」「放漫経営」等が自社にはあてハマらないから上記のスピーチのような素晴らしい発言ができるのかもしれません。

このブログを書いている私も同族経営の会社の社長です。

ちなみに私自身も同族経営の社長です。

トヨタ自動車とは程遠い小さな会社ですが、やはりトヨタ自動車と同じく従業員を「大切な仲間」と思って大切に扱っているつもりです(時には腹が立つ事もありますがそこはお互い様です)。

大学生は同じ分野・同じ規模の会社なら迷わず同族経営の会社に入った方がいい

わが社では大学生のアルバイトも雇用するのですが、そんな彼(彼女)らと世間話をする時にもこう言っています。

「大企業に入りたいんでしょう?それなら、どうせ社長にはなれないんだから、同じレベルの大企業を選べるなら同族企業の大企業にした方がいいよ」と。

こんな事を言うと野心旺盛な若いアルバイト達は「なぜですか?同族経営じゃない方が、いいじゃないですか?民主的で」と返してきます。

そこで私はこう答えます。

「同族企業と言ってもうちみたいな中小企業ではなく大企業の話さ。同族企業の経営者はね、社員もお客様なんだよ。だから大切にする場合が多い」

と言う話をしても大抵の場合、若いアルバイト達は私の意見に賛同はしてくれません(笑。

ついでに私はこうも続けます。

「同族企業の創業家が会社から去った時は悲惨だよ。急にリストラが始まったりする」

大手企業でも同族経営が終わると悲惨

以下は私の知ってるある企業(一部上場企業。その分野では世界のリーディングカンバニー)で本当にあった事です。

ある同族企業の事例

その会社は戦争直後に創業。家族経営の小規模企業から成長に継ぐ成長を重ねて世界的なリーディングカンパニーに成長。創業者が大往生した後も、創業家の社長が続きます。

数代の優秀な経営者達の下でその会社は順調に発展。そして創業家は経営から完全に去る事になりました。創業家が経営から円満な形で会社を離れ、経営陣が全員サラリーマン経営者になった途端に社風が変わりました。

創業家が経営から離れた直後に壮絶なリストラが

経営陣全員がいわゆる「生え抜き」ばかりになった途端、壮絶なリストラが始まったのです。

リストラ対象となった人は日の当たらない隔離部屋で非生産的な作業を連日やらされたり、一日中草むしりをさせれられたりとまるでテレビドラマのような陰惨なイジメがあったようです。

私は偶然にも「父親がその会社の社員でリストラ対象者となり壮絶な体験をした」という人と知り合いました。その人の父親は急に始まった陰惨なイジメに耐える日々が相当に応えたのでしょう。苦悩が人格にまで影響を及ぼしてしまい、家庭は悲惨な事になってしまったそうです。

同族経営から創業者一族が去ると

例に挙げたその会社は「オーナー一族」と「それ以外の社員達」という関係から、突然に「社長になれた競争の勝者」と「それ以外の競争の敗者」という関係になったのです。

社長に昇り詰めた人は、成果が出ない人の気持ちなんて解る筈もありません。成果がでない人に対して厳しい態度をとる事もあるでしょう。それはある程度仕方がない事なのかもしれません。

どうせ社長になれないのなら同族企業の方がいいよ

大学生はもし選べるなら「同族経営」の会社にした方が良いです。

冒頭のトヨタ自動車㈱の豊田章夫社長の発言を呼んでそのな事を考えてしまいました。

(26/100) 100日ブログ

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